恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
2.婚約辞退
12月中旬。
花澄は放課後、知奈と共に教室で雑誌を開いていた。
雑誌はクリスマス特集となっており、デートや食事などの情報が山のように載っている。
「クリスマスか~。そう言えばあんた達、付き合って初めてのクリスマスじゃない?」
「……そだね……」
「ってアンタ、なんでそんなテンション低いわけ?」
知奈は不思議そうに言う。
花澄は雑誌を見るふりをしながら、内心でため息をついた。
――――どうやら、今回は本家からの援助は難しいということになったらしい。
ここ数日、父は金策で飛び回り、祖母も知り合いに片っ端から電話を掛けている。
はっきり言って、クリスマスどころではない。
「私も、バイトとかした方がいいのかなー……」
「は? 何言ってんの、受験生が?」
「……」
知奈は呆れたように言う。
しかし現実問題、お金がなければ大学にも通えないだろう。
と落ち込んだ花澄に、知奈は身を乗り出して言う。