恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「あの……、雪くん。資金援助のこと、父から聞いたの。ありがとう……」
『……』
「で、ね。婚約のことなんだけど、雪くんは、その……」
『俺は本気だよ』
雪也の言葉に、花澄は思わず息を飲んだ。
いつになく強い、雪也の口調。
無言になった花澄に、雪也は畳み掛けるように言う。
『君と美鈴を間違えたわけでもない。俺が婚約を申し込んだのは、君だ。……俺は大学を出たら、君と結婚する』
「……ゆ、雪くん?」
『ごめん、明日、京都に行くんだ。その準備をしなきゃならない。またね、花澄ちゃん』
何も言う隙も与えられないまま、プチッと通話を切られる。
花澄は血の気が引いていくのを感じた。
……雪也は、本気だ。