恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
ムッとして花澄が言うと、環は唇の端にかすかな笑みを浮かべた。
どこか小馬鹿にしたような、その微笑み。
……執事とはとても思えないその態度。
雪也とは雲泥の差だ、とプンと顔を背けた時。
花澄の目の端に、濃紺の服を着た男性の姿が映った。
紺地に所々赤い色が入った制服を着ているその男性は――――郵便屋さんだ。
「相沢さーん。相沢さんのお宅はこちらでよろしいでしょうか?」
「……あ、はい」
環は剪定鋏を置き、玄関の方へと向かった。
郵便屋さんから何かを受け取り、サラサラとサインする。
やがて戻ってきた環の手にあったのは……。
「……っ!!?」