恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
……喉から手が出るほど欲しい。
が、環に頼むのはかなりシャクだ。
でもこれはレア中のレア、めったに手に入らない代物だ。
ここは恥を忍んででも頼み込むしかない。
と、口を開きかけたとき。
「お嬢様ー! そろそろ出発いたしますが~」
玄関ポーチの方から、車番の塚原さんの声がした。
塚原さんは祖母の清美の運転手として長年勤めており、今は屋敷付の運転手をしている。
塚原さんの他にも、庭師の佐藤さんや雑務の清田さんがこの屋敷で働いており、花澄は幼い頃から彼らにお世話になっている。
腕に嵌めた時計を見ると、9:00。
そろそろ出発しなければならない時間だ。
花澄と環は急いでヨモギやその他の草花を籠に入れ、車の方へと駆け出した。