恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
翌日の昼休み。
花澄は環に言われたとおり、校庭の裏へと向かった。
校庭の裏に着くと、既に先に来ていた環が花澄の方へと歩み寄ってくる。
その手には、封筒のような物を持っていた。
「環……」
花澄が見上げると、環は少し笑った。
いつもの、見ているだけで心惹かれてしまう環の微笑み。
しかしその微笑みに少し硬さのようなものを感じ、花澄は眉を顰めた。
環は花澄を見つめ、静かに口を開く。
「――――香港大学に、受かった」
環の言葉に花澄は息を飲んだ。
……香港。
目を見開く花澄に少し笑い、環は続ける。
「学期が始まるのは9月からだが、語学の勉強のため予科に通う必要がある。だから卒業式が終わったら、すぐに日本を発つ」
「え……っ」