恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



『君が環を選べなかったのは、君のせいじゃない』


その言葉の、意味するところ……。

花澄は目を見開いた。

雪也は、知っているのだ。


――――自分が、『選べない』ということを。


衝撃が花澄の胸に広がっていく。

花澄は涙に濡れた目でじっと雪也を見つめた。

どうして……。


どうして雪也が、それを知っているのだろう……。


ずっと一緒に育ったのに、あれだけ愛し合ったのに……

花澄の『弱さ』に環が気付くことはなかった。

なのにどうして、雪也がそれを知っているのだろう。


顔を上げた花澄を雪也がじっと覗き込む。

その瞳に満ちる、切ない想い。

瞳越しに伝わる想いが、花澄の心に微熱のように広がっていく。


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