恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
雪也は楽しげに笑いながら言う。
……釣竿って……。
それはストーカーというより不審者ではないだろうか。
というか、これから川に行くつもりなのだろうか。
もう15時過ぎだが……。
と花澄が言うと、雪也は軽く首を振った。
「いや、もう時間的に厳しいかな」
「……そうだよね」
「川はまた今度にして、今日は駅前で遊ぼうか。さ、行くよ~」
雪也はぐいと花澄の腕を引く。
いつも学校で見るのとは違う、朗らかで楽しげなその笑顔。
ふわりと香る、爽やかなコロンの香り。
花澄は胸の高鳴りを感じながら、雪也に連れられて駅の方へと向かった。