恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「俺に任せて。……取ってあげるよ、花澄ちゃんが欲しい分だけね?」
「……へ?」
「何個でもいいよ。10個でも20個でも。いくらでも取ってあげるよ?」
花澄はぽかんと雪也を見上げた。
いくらでもって……。
――――そういえば。
以前、一年ほど前に雪也とゲーセンに来た時……。
雪也はゲーセンのゲームは比較的どれも得意だが、一番得意なのはクレーンゲームで、花澄が『欲しい』と言ったぬいぐるみが入った台を『おそうじ』してしまった。
『おそうじ』、つまり商品をひとつ残らずゲットしてしまうという、店からしてみたら脅威以外の何でもない荒業だ。
花澄は慌てて首を振った。
「いっ、一個でいいよ! 一個で充分っ」
「そう? 残念だなー。……じゃあちょっと待ってて?」
雪也はクレーンゲームの前に立ち、手早くコインを入れた。
ボタンを押し、クレーンを動かす。
……その、真剣な横顔。
クレーンはウィーンという音とともに下に降り、一番近い商品を掴む……と思いきや。