恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
5.七夕の想い出
18:00。
ゲームセンターを出た二人は、繁華街を駅の方面へと向かって歩いていた。
散りかけた桜の花びらが、夕暮れの風に乗って花の香とともに辺りに舞っている。
ふと見上げると、雲間に朧に霞んだ月が見える。
少し欠けているところを見ると、今夜は十三夜らしい。
「あと二日で、満月というところかな?」
「そうだね」
隣を歩く雪也も、同じように月を見上げている。
月を見ていると雪也と初めて会った日のことを思い出す。
花澄は歩きながら、遠い日の記憶を思い出した。