恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「懐かしいな……」
花澄は雪也の隣を歩きながら、呟いた。
……初めて雪也に会った、あの七夕の夜。
花澄の言葉に、隣を歩く雪也が首を傾げる。
花澄は少し笑い、言った。
「初めて会った時のことを、思い出してたの」
「初めてって……あの、七夕の時?」
「そう」
花澄が言うと、雪也ははぁと息をついた。
どこか困ったような表情で花澄に視線を投げる。
「今さらだけどさ。……君の頭から消したいよ、その記憶」
「え、なんで?」
「だって俺、最悪じゃない? 君との最初の記憶が、よりによってアレだもんなー……」