恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
三章
1.未来への不安
6月上旬。
土曜の午後。
梅雨晴れの青空の下、夾竹桃や百日紅の色鮮やかな花々が湿気を帯びた風に揺れている。
開け放した窓の向こうで、花壇の柵に絡みついた朝顔や時計草が陽の光を受けて瑞々しく輝いている。
花澄は大きく伸びをし、汗で首筋に絡みついた髪を軽く後ろに払った。
「暑っ……」
梅雨の晴れ間のせいか、今日は朝から気温が高い。
花澄はリビングのソファーに座りながら、テーブルの上にあったうちわを手に取りパタパタと煽いだ。
この屋敷は玄関や応接室など、表向きの部分は洋風に造られているが、奥にあるリビングやキッチン、そして2階の家族の居室は和風家屋として作られている。
もともとこの建物は横浜の北條財閥が昭和の初期に建てた和洋折衷の別荘で、藤堂家が羽振りのいい頃にぜひ譲ってくれと頼み、買い取ったものだ。
昔の建物なので夏はそれなりに風通しがいいハズなのだが、……それでも暑い。
と、タンクトップにハーフパンツという格好で、パタパタとうちわを煽いでいた花澄だったが。
「なんですか花澄、その恰好は。はしたない」
「……っ!」
祖母の声に、花澄は慌てて身を起こした。