恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
花澄は席を立ち、一旦廊下へと出た。
携帯を開き、暁生の番号を表示してボタンを押す。
相手が暁生と分かっていても、少し緊張する。
そして少しだけ、ドキドキする。
しかし数回のコール音の後、繋がったのは留守番電話だった。
「……」
花澄はパタンと携帯を閉じた。
……ちょっとがっかりだ。
でもこれで一応ノルマの一つは達成した。
同窓会は二時間の予定なので、あとは帰り際にもう一度連絡を入れればいいだろう。
と思っていた花澄だったが……。
会場に戻った花澄は、一番奥の席にいる島本のところへと歩み寄った。
花澄の姿を見るなり、島本が手を上げる。
「おー、藤堂さん! 久しぶりだな~」
「お久しぶり、島本君。今回は島本君が幹事なんだね? ……ハイ、代金」
「確かに頂きました~」