恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



「おっ、月杜!? 久しぶりだな、おい!」

「こっちに来いよ! 飲もうぜ!」


雪也はあっという間に入り口近くのテーブルに引きずり込まれた。

昔から『正統派王子』だった雪也は男子からも女子からも慕われており、その人気は同窓会の場でも健在らしい。

花澄はしばらく雪也の姿を食い入るように見つめていたが、雪也がふいにこちらに視線を向けそうになったことに気付き、慌てて俯いた。

……なんとなく、顔を合わせづらい。

7年間、全く連絡がなかった雪也。

雪也は自分と会いたくないと思っているのではないだろうか……。

であれば、極力顔を合わせない方がいい。

花澄はこそっと席を立ち、知奈がいるテーブルへとささっと戻った。



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