恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
声と共に突然後ろから腕を引かれ、花澄は思わず体勢を崩した。
背後からふわりと香る、甘くスパイシーな香水の薫り。
背にぶつかった弾力のある感触に息を飲む花澄の肩を、声の主が強く掴む。
その瞬間。
────環!?
花澄の心の中で、何かがざわめいた。
無意識の直感とでもいうのだろうか、体の細胞全てが瞬間的に震える。
まるで濃艶な紅い花に全身をふわっと包まれたかのような、懐かしい感覚。
香水の薫りの下に潜む、甘く濃密な花の香り……。
環と全く同じ、その香り……。