恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



ひょっとしたら……

暁生は、自分が思っているような人ではないのかもしれない……。


女あしらいが上手くて、強引で、自信に満ちていて……。

けれどそれは彼の一面にすぎないのかもしれない。

本当の彼は……。


「……っ!」


ドクン、と心臓が大きく動く。

顔にカッと血が上り、頬が火照りだす。

……この感覚には、覚えがある。

切ないような、ドキドキするような、でも怖いような────不思議な感覚。


これ以上踏み込んではならない。

踏み込んだら破滅する。

そう思っても、深淵を覗かずにはいられない────あの衝動。



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