恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
言い、暁生はちらりと花澄を見た。
……獲物を捕獲するかのような、その目。
先ほどの悲哀は微塵も感じさせない、突き刺すようなその目。
暁生の視線は花澄の心に突き刺さり、刺された部分から甘い毒のようなものがじわりと広がっていく。
やがて毒は全身に回り、花澄はなすすべもなく立ち尽くした。
────破滅の予感。
あのクリスマスの時と同じ目を向けられているのに……
今、なぜか花澄の胸に、じわじわと痛みが広がっていく。
……この痛みは、何なのだろう……。
『暇つぶしの相手にはちょうどいいと思いますよ?』
暁生の言葉がこんなに辛く感じるのは、なぜなのだろう……。
視界が、じわりと滲んでいく。
花澄は慌てて俯き、苦しげなため息をついた。