恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



────2月上旬。


土曜の18:00。

花澄は白いシャツに薄黄色のボーダーセーター、紺のスカートという格好で神楽坂の駅前に立っていた。

やがて大通りの方から、暁生が姿を現した。


「待ちましたか、花澄さん?」

「あ、いえ。今来たところです」


花澄は目の前に立った暁生を見上げた。

暁生は今日は白いシャツに紺のカーディガン、スラックスといういつもより少しカジュアルな格好をしている。

いつものスーツ姿も良いが、こういうカジュアルな格好も似合うのだから見目が良い人間は特だ。


暁生とこうやって待ち合わせをするのはこれで三度目だ。

そして花澄は、会うごとに、暁生に対する抵抗感が少しずつなくなっていくことに気付いていた。

初めの印象が最悪だったため、あまり気負わずに接することができたせいかもしれない。

花澄は暁生にエスコートされ、神楽坂を登って行った。

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