恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



性格は全く違うのに、ふとした仕草や表情、笑い方は環と全く同じだ。

……自分は錯覚しているだけなのだろうか。

環がまだ心にいるから、暁生に彼を投影しているのだろうか。

と思った、その時。


プルルル、と無機質な機械音が辺りに響いた。

どうやら暁生の携帯らしい。

失礼、と暁生は言いポケットから携帯を取り出した。


「はい、もしもし……」

『……』

「春燕?」


暁生の言葉に、花澄は背筋を強張らせた。

……どうやら春燕からの電話らしい。

暁生の本命の、あの綺麗で優しい人……。




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