恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「すみません、花澄さん。……言いすぎました」
「いえ……」
「せっかくの食事なのに、暗い気分にさせてしまって申し訳ありません。……さ、食べましょうか?」
暁生は気分を変えるように言い、再び徳利を手に取った。
花澄のお猪口に酒をなみなみと注ぐ。
花澄はお猪口を口元に運びながら暁生の顔を見た。
────何かをひどく後悔しているような、その横顔。
きつい言葉を投げてしまったことに対する後悔だけではなく、もっと深い何かを見つめ、それを悔いているような、痛ましい表情。
その表情を見ていると、なぜか花澄も胸が締め付けられるように痛む。
花澄は暁生の横顔をこっそりと見ながら、お猪口をゆっくりと傾けた。