恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
<side.春燕>
01:30。
「……あら、今日はもう潰れてるのね?」
外出先から戻った春燕は、そっと奥の書斎を覗き込んだ。
書斎の隅に設えられたソファーに、暁生が横たわっている。
春燕はばさっとコートを脱ぎ、リビングの椅子の上へと放った。
そのまま書斎へと入っていく。
サイドテーブルに置かれたウイスキーのグラスには、まだ酒が半分ほど残っている。
どうやら今日は強めの酒で一気に意識を殺したらしい。
────何か、嫌なことでもあったのか……
今日は彼女と会っていたはずだ。