恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



<side.春燕>



01:30。


「……あら、今日はもう潰れてるのね?」


外出先から戻った春燕は、そっと奥の書斎を覗き込んだ。

書斎の隅に設えられたソファーに、暁生が横たわっている。

春燕はばさっとコートを脱ぎ、リビングの椅子の上へと放った。

そのまま書斎へと入っていく。


サイドテーブルに置かれたウイスキーのグラスには、まだ酒が半分ほど残っている。

どうやら今日は強めの酒で一気に意識を殺したらしい。

────何か、嫌なことでもあったのか……

今日は彼女と会っていたはずだ。

< 153 / 389 >

この作品をシェア

pagetop