恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



「ほんとは、さ。……ちゃんとした大人になって、君に自然な形で再会して、また昔のように仲良くなって……」

「雪くん……」

「そして今度こそ、君に俺を好きになってもらいたいって思ってた。でも……」


雪也はそこで一旦言葉を止めた。

目を伏せ、何かを決心するようにひとつ息をつく。

────そして、顔を上げた雪也の視線に、花澄は固まった。


熱く切ない想いを宿した、その瞳。

驚く花澄に、雪也は一息で言った。



「花澄。……俺と付き合ってほしい」



雪也の言葉に、花澄は凍りついた。

言われた言葉が、宙に浮かんで頭に入ってこない。

呆然とする花澄に、雪也は畳み掛けるように言う。


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