恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「俺の気持ちは昔から変わっていない。この7年、君のことを忘れた日なんて一日もなかった」
「雪くん、……うそ……」
「俺達は再会したばかりだし、本当はもう少ししてから交際を申し込もうって思ってた。……でももう、待ってる余裕なんてない。君はいつ、誰に取られてもおかしくない」
「そんなこと……っ」
「心配しないで。昔のように、金で君の心をどうにかしようなんて思ってないから。君が納得した上で俺と付き合う気になるまで、気長に待つよ」
雪也は目を細め、微笑して言う。
花澄は雪也の顔を食い入るように見つめた。
────7年前。
花澄と環が付き合い始めたのを知った雪也は、花澄を環から引き離すため、工房への資金援助と引き換えに花澄と強引に婚約を交わした。
その結果、花澄と環は駆け落ちを考えるまでに追い詰められた。
結局婚約は破棄されたものの、あのことで花澄や環、そして雪也自身が心に負った傷は浅くない。