恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
4.非常事態
────翌週の木曜。
22:00。
アパートの自室でいつものように寛いでいた花澄のもとに、一本の電話が入った。
携帯の画面を見ると、『藤堂繁次』。
父がこんな時間に電話をかけてくることはめったにない。
花澄はピッと通話ボタンを押した。
「もしもし」
『……花澄っ! 大変だ!』
いつになく慌てた様子の父の剣幕に、花澄は驚いた。
「どうしたの?」
『梁さんと連絡がとれない! 先週、航空便で商品を送ったので、そろそろ着く頃かと思って電話してみたんだが、電話が解約されてて……』
「え……えええっ!?」
花澄は思わず叫んでしまった。
……電話が解約。
それって……。