恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
まずは、誰かに相談してみるべきだろう。
……と、思った時。
脳裏にふと浮かんだのは……。
「……雪くん……」
彼であれば花澄の家の工房についても知っているし、繁次と面識もある。
以前、彼に資金援助してもらったことを考えると気が引けるが、相談するだけならいいだろう。
というより彼以外に相談できそうな人を他に知らない。
暁生にとも一瞬考えたが、彼とはあまり金のことについて話したくない。
花澄は雪也の番号を表示し、通話ボタンを押した。
何回かのコール音の後、電話口に雪也の声が聞こえる。
『……花澄?』
「雪くん、ごめんね、こんな夜中に。……ちょっと相談したいことがあって……」
花澄は工房の資金のことについて、ざっと雪也に説明した。