恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
────そして、5分後。
『話はだいたいわかった。……俺の方でちょっと調べてみるから、君は焦って動かないこと。いいね?』
「え……っ?」
『市や町で、事業資金を貸してくれる制度があるところもある。最悪、50万くらいなら俺の手持ちでどうにでもなるしね?』
「でも、それは……っ」
花澄は慌てて言った。
確かに雪也なら、50万程度であれば大した金額ではないのだろう。
しかし彼からお金を借りたくはない。
と思う花澄の耳元で、雪也の嘆息交じりの声がする。
『……あのね、警戒しなくてもそれで君をどうこうしようなんて思ってないよ。あくまで友人として、君を助けたいって思ってるだけだから』
「……だとしても、それは……っ」
『じゃあ、もしどこからも調達の目途がつかなかったら、君はどうするつもり?』