恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



雪也は冷静に言う。

花澄は一瞬の沈黙の後、慌てて口を開いた。


「どうするって……、そうなったら、消費者金融とかから……」

『消費者金融から借りると、君も想像はつくと思うけど、あっという間に利息が雪だるま式に膨れ上がる。早く返さないと利息の方が高くなるよ?』

「もちろん、わかってるよ。早く返すために残業を増やしたり、バイトしたり……」

『……バイトって、まさか夜のバイトじゃないよね?』


雪也の言葉に、花澄は息を飲んだ。

いや、まだそこまで考えていたわけではないのだが……。

と言いかけた花澄に、雪也は強い声で続ける。


『あのね。君を夜の商売に行かせるくらいなら、俺は速攻で君を攫って、君と結婚する』

「……っ」

『俺は気長に待つと言ったけど、そんな道を選ぶなら一秒たりとも待たない。……というわけで、いざというときには俺がどうにかするから君は何もしないこと。いいね?』


雪也の言葉に、花澄は気圧され、頷いた。

なんというか、大人になった雪也は思った以上に強引だ。

自信から来る強引さ、とでも言うのだろうか……。



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