恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
『あと、その会社と交わした契約書とかある?』
「あ、うん。中国語と英語だけど……」
『もし可能なら、言葉がわかる人に確認してもらった方がいいかもしれないな』
……言葉がわかる人。
花澄の脳裏に、とっさに暁生の顔が浮かび上がった。
ちなみに契約書は元本は中国語だが、花澄も父も中国語がわからないため英訳をつけてもらった。
一応、その英訳を確認した上で契約したのだが……。
「……うん、わかった」
『じゃあ、また何かわかったら連絡するから。くれぐれも一人で行動しないこと。いいね?』
雪也は何度も言い含めるように言う。
花澄はうんと頷き、電話を切った。