恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



花澄は喉を震わせ、暁生を見た。

暁生は真剣な目で花澄を見つめている。

花澄は意を決し、言った。


「今月末までになんとか、頑張ってみるつもりでいます。それに、どうしてもダメなら、私の友人が助けてくれると言っているので……」


……と、花澄が言った瞬間。


暁生の眼鏡の奥の瞳が、クッと見開かれた。

鋭い刃物のような目で花澄を見る。


「友人、ですか。それはひょっとして、あの同窓会の帰りに会った人ではないですか?」

「……っ!」


花澄は驚き、目を丸くした。

どうして暁生はここまで勘が鋭いのか……。

驚く花澄の前で、暁生の目がみるみるうちに険しくなっていく。



「なるほど、な。……やはり手口は昔と同じか……」



暁生はクッと嗤い、突然立ち上がった。

────その目に宿る、昏い影。

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