恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
その瞳の冷たさに花澄はゾッとし、息を飲んだ。
そんな花澄に暁生は唇の端で笑ったあと、ポケットから携帯を取り出した。
ピピッと何やら操作し、通話ボタンを押す。
「ああ、おれだ。……今、日本の口座にある金を全てまとめたら、いくらになる?」
『……』
「5000か。わかった、そいつを全部UMJに入れてくれ。今すぐにだ。終わったら連絡をくれ」
暁生は言い、パタンと携帯を閉じた。
唖然と見つめる花澄に、暁生は冷たい笑みを投げる。
────まるで獲物を仕留めようとする猛禽類のような、その瞳。
花澄はゾッとしつつ、震える唇を開いた。
「……暁生さん、今のは……?」
「金をまとめるよう指示したんですよ。今すぐにね」
「ど、どうして……っ」
「どうしてって。注ぎこむためですよ。あなたの家の工房にね?」
暁生はうっすらと笑って言う。
花澄は呆然と暁生を見上げた。