恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「なに……言ってるんですか、暁生さん。そんな、冗談は……」
「冗談に見えるのですか、これが。とりあえず5000万もあれば十分でしょう」
「遊びにしては、やりすぎです! 遊びの相手に、そんな大金を……っ!」
とっさに立ち上がり、言いかけた花澄だったが。
暁生の目に浮かぶ暗い光に、息を飲んだ。
「────遊び、ね。確かにそうです。ですが……」
これまでに聞いたことがないような、低い声。
花澄は戦き、暁生を見上げた。
暁生は眼鏡越しに花澄を見下ろしながら、口元に昏い笑みを刷く。
「遊びと言えど、恋愛だ。恋愛に禁じ手はない。どんなに理不尽なことも起こり得る。……違いますか?」
「…………っ!」
花澄は凍りついた。
しかし、そんな大金を注ぎこまれたら……自分は……
愕然とする花澄に、暁生は唇の端で笑って言う。