恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
涙が頬を伝って流れ落ちる。
花澄は涙を流したまま、店から走り出てエレベーターに飛び乗った。
そのまま1階のボタンを殴るように叩き、ずるりと壁に凭れ掛かる。
「……環……っ……」
環の瞳が、憎しみが、心に突き刺さる。
花澄は涙に歪む視界の中、唇を噛みしめた。
環をこれほどまでに歪めてしまったのは、自分だ。
この7年、環がどんな想いで過ごしてきたのか……。
環はもう家庭を持っているかも、などと思っていた浅はかな自分。
自分がどれほど環を苦しめ、傷つけたのか……。
それを考えようともせず、自分に都合のいいことだけを考えていた。
自分はなんて愚かで傲慢だったのだろう。
既に環にとって自分は、苦しみだけを与える存在なのかもしれない……。
涙がとめどなく零れ落ちる。
花澄は両手で顔を覆い、肩を震わせ嗚咽した……。