恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「そのお金の出所は、また後日説明するから。とにかく、そのお金には手を付けないで。50万は私がなんとか用意するから」
『……おい、花澄?』
「ごめん、これから仕事なの。また連絡するね?」
花澄は言い、通話終了ボタンを押した。
これで、とりあえず父の方は大丈夫だろう。
あとは……。
なんとかして、50万を月末までに用意しなければならない。
そして、あの金は環に返さなければならない。
……正直、環には聞きたいことがいろいろある。
なぜあんな大金を動かせるのか、港南機業に勤めているようだが一体何の仕事をしているのか、香港に渡ってから彼に何があったのか────。
本当は環に会って、全てを聞き質したい。
けれど……。
「環…………っ」