恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
アパートを探せないとなると、行く先は父の工房しかない。
しかし工房は箱根の山奥にあり、短期で働くといっても働き先がないだろう。
となると、八王子に居られるあと一週間の間に、できるだけ金を稼がねばならない。
花澄は目を皿のようにし、パソコンの画面に表示されたバイトの一覧をチェックしていた。
と、そのとき。
プルルル、と携帯が鳴った。
画面に表示されているのは、『月杜雪也』。
「もしもし」
『花澄っ! ……よかった、繋がった』
雪也は花澄の名を叫んだ後、どこかほっとしたように言う。
……見ると。
雪也から何件か着信が入っていた。
今朝からのドタバタで気付いていなかったのだが、雪也は何度か自分に電話をくれたらしい。
雪也は電話口でひとつ息をつくと、固い声で言った。