恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
『しかし……彼が環となると、君に正体を隠して接触してきたのには何か理由があるはずだ。只事ならない理由がね』
「……っ」
『なんとなく、だけど。……俺には想像がついてる。7年前、君と彼はあんな別れ方をした。だから……』
と言いかけた雪也に。
花澄は胸の痛みを感じながら、震える唇を開いた。
「うん、それは私もわかってる。……昨日、環に会って、確信したの」
『……花澄……』
「環は私を恨んでる。憎んでると言ってもいいかもしれない。……環が私の前に現れたのは、私に報復するためなの」
『……っ!』
電話の向こうで雪也が息を飲む気配がする。
花澄は大きく息をつき、ぐっと唇をかんだ。
やがて電話口の向こうから、掠れた声がする。