恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



……そして、二時間後。

事務室へと戻った花澄に、面接をした男が声を掛けた。


「お疲れ様でした。……いかがでしたか? 初めての仕事は?」


男の名は栗山といい、スカウターかと最初は思っていたが、どうやらこの店のオーナーでもあるらしい。

まだ若く、さほど花澄と年も離れていないと思うのに、自分の店を持っているとは……。

花澄は酒気で少しふらふらする頭を押さえ、栗山を見た。


「……ちょっと、緊張しましたけど。とりあえず最後までこなせて、よかったです」

「初めての割には堂々としていたと思いますよ? 途中から指名も入りましたしね」


栗山は言い、すっと花澄に封筒を差し出した。

額面を見ると……。


「……えっ? 3万円!?」


内訳は時間給12,000円に客が入れた飲み物の半額16,000、指名料4,000、そこから衣装代の2,000を引いて計30,000ということらしい。

今日は2時間働いたので、一時間当たり15,000ということになる。

……ものすごい時給だ。

しかしこんなに出してもらっていいのだろうか?

と思った花澄に、栗山は言う。


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