恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
雪也の言葉に、環はクスリと笑った。
その美しい榛色の瞳を細め、挑むように雪也を見る。
「さて、どうしましょうか。……既に彼女は自分の金も仕事も、住む場所すらも失った。行き倒れるのも時間の問題でしょうね」
「……っ、環、君は……っ!」
「そうですね、……彼女を閉じ込め、おれの気が済むまでいたぶった後、マカオかアラブの富豪あたりに売り飛ばしましょうか?」
「……っ!」
「それとも薬漬けにして、歌舞伎町のソープや場末のバーで見知らぬ男の相手をさせましょうか? ……あの体であれば、たちまち人気が出るでしょう」
環の言葉に雪也は息を飲んだ。
しかし言葉以上に雪也を驚かせたのは、環の瞳だった。
射殺すように自分を見つめる、抜身の刃のような瞳。
自分は彼女の体を知っているのだと、言外に告げているその視線。
────自分に対する、強烈な対抗心。
ひたと雪也を見据える、榛色の瞳……。
昔はそれでもオブラートに包んでいたその感情を、環は今、隠すことなく剥き出しにしている。
雪也はじっと環を見つめ、口を開いた。