恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「環、君は本気でそんなことをしようとしているのか? あれだけ彼女を愛していた君が?」
「…………」
「であれば、俺は君を許さない。どんなことをしてでも君を止めてみせる」
と、雪也が言うと。
環はクッと笑い、大きく足を組んだ。
「ほう、どうやって? ……もう、あなたに彼女をどうこうする権利はないでしょう? 彼女の今の婚約者は、おれだ。あなたではない」
環は言い切り、真っ直ぐに雪也を見た。
雪也は環の瞳に思わず息を飲んだ。
環の瞳に燃える、激情。
何年も心に積もり積もった何かを燃やすような、昏い情炎を映した瞳。
環の心に燃える炎が、瞳越しに雪也に伝わる。
全てを焼き尽くそうとする、その激しさ────。