恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「行く! 絶対行くから! 這ってでも行くから! ……え? 二人?」
『……』
「大丈夫! ちょうど今、失恋直後のコと一緒に居るから! 引きずってでも連れて行くから心配しないで!!」
『……』
「うん、わかった。じゃあまた後でね!」
知奈は興奮した声で言い、パタンと携帯を閉じた。
なんとなく事情を察した花澄は、ふるふると首を振った。
「ち、知奈。私はいいよ。知奈だけで……」
「何言ってんの! 今どきこんなバブリーな誘い、めったにあるもんじゃないわよっ。さ、出陣するわよ!!」
知奈は花澄の腕を引っ掴み、コートと鞄を取り上げる。
花澄は知奈に引きずられるように店を出た……。