恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
胸が痛くなるほどの幸せが心の底から溢れ出す。
環は衝動的に花澄を抱き寄せた。
『ああ、行こう。……ずっと一緒だ。絶対に離さない!』
『……環……っ』
『今のおれならお前のために何でもしてやれる。お前の不安を取り除いてやれる』
『……環、ほんと……?』
『ああ。……花澄、何が欲しい? 何でもやる、花でも宝石でも、車でも家でも。お前が望む全てのものを、お前にやるから……』
環は熱に浮かされた声で言いながら、ぎゅっと花澄を抱きしめた。
……愛しいぬくもり。
彼女のためなら自分の何を犠牲にしても惜しくはない。
それで彼女が喜ぶと言うなら、自分は何でもするだろう。
だから……だから……
『だから、花澄。おれを選んでくれ。────おれだけを愛してくれ』
胸から迸る、悲痛な叫び。
環ははっと目を開け、辺りを見回した。
「……っ……」