恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



「……暁生様。花澄様ですが、まだアパートに戻っていないと連絡が入っております」


声の主は環の部下である趙浩然だ。

浩然の言葉に、環は思わず目を見開いた。


……まだ帰ってきていない?


眠気が一気に吹き飛んでいく。

環はとっさに扉の方を見た。


「ここ数日ほど、花澄様は夜の6時過ぎに家を出、日が変わった深夜に戻られるという日が続いております」

「……何だって……?」

「念のため、所在を確認させましょうか? ご指示を……」


と言いかけた浩然に。

環は急いで立ち上がり、叫ぶように言った。


「いい。場所はわかってる。六本木だ。────車を回せ!」


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