恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
部屋の中は焦茶のラタン家具とアイボリーを基調としたインテリアで統一され、モダンアジア風といった雰囲気だ。
洗練されているが、どことなく温かさも感じる。
幼い頃から高校まで和洋折衷の屋敷で育った花澄には、目に馴染みのある色彩だ。
花澄は左手に力を入れ、体を起こそうとした。
しかしズキッと腕に痛みが走り、花澄は再び枕に顔を突っ込んだ。
どうやら、昨日掴まれたところの青あざが内出血になり、悪化したらしい。
しかし左手にはそれ以外になんとなく違和感がある。
花澄は首を回し、左手の手首を見た。
「……?」
何やら金属のブレスレットのような物が手首に嵌まっている。
ブレスレットは金と銀でできたバングルのような形状で、邪魔という訳ではないが腕を動かすと少し違和感がある。
ブレスレットは手首にぴたっと密着しており、外そうにも外せない。
なんだろう、これ……。