恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
『コンビニでお金を下ろしてから行くから、先に行ってて?』
『えっ? 今日は費用相手持ちだから、別に下ろさなくても……』
『生活費も下ろさなきゃならないし。すぐに行くから』
『ん、わかった』
知奈は言い、上機嫌で上階のホテルへと向かった。
どうやら知奈の友人から届いたメールによると、今日の男性陣はかなりハイスペックなメンツらしい。
そもそもこんなところで合コンをしようと考えること自体、普通ではない。
花澄は足が竦みそうになりながら、『エランドール』へと向かった。
────3分後。
「……」
花澄は店の入り口で呆然と立ち尽くした。
……やはり、場違いだ。
ヨーロッパの街並みをイメージしているのだろうか、瀟洒な赤レンガで整えられたエントランスに、所々に配置された上品な花々。
一目見ただけで『上流階級御用達』というのがわかる。
花澄はまだ裕福だった頃、何回かこういった店に来たことがある。
だからこそ、今の自分の格好が場違いだと分かる。