恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



────マンションに来てから三日後。


「…………」


花澄は茫洋とした目で窓の外に広がる景色を眺めていた。

ここは汐留にある高層マンションの35階らしい。

どうやら環が所有しているマンションのようだが、詳しいことは花澄にはわからない。


昨日からあまり食欲がないせいか、体に力が入らない。

体の痣は直ってきたが体力は落ちてきている感じだ。

食事は一日に三回、黒服の男が持ってきてくれるが、今日は朝食も昼飯も1/3ほどしか食べることができなかった。


「……環……」


あれから環は花澄の前に姿を現していない。

けれど朝になると、巻かれている包帯や薬が全て新しいものに取り換えられ、手にはハンドクリームが塗られている。

どうやら夕飯に軽い睡眠薬のような物が入っており、寝ている間に環が全てやっているらしい。


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