恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
7.残酷な真実
<side.環>
02:00。
環は救急箱を片手に、寝台に横たわる花澄の傍に椅子を引き寄せ、静かに座った。
枕元に置かれたシェードランプに照らされた、花澄の顔……。
見ているだけで、切ない想いが胸にこみ上げる。
────三日前。
六本木の路上で抱き上げた彼女の体は、羽根のように軽かった。
……7年前に比べ、確実に痩せた花澄。
手は荒れ、手足には無数の痣ができている。
環はマンションに花澄を運び込んだあと、真っ先に救急箱を探した。
復讐などという言葉は脳裏から消えうせ、夢中で彼女の傷の手当てをしながら、7年ぶりに触れる彼女の体の感触に心が震えるのを感じた。
環は眉根を寄せ、じっと花澄を見つめた。
彼女をここに連れてきたのは復讐のためだ。
もう逃げだす術のない彼女をどうしようと、自分の自由だ。
なのに……。