恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



「……花澄……」


花澄の寝顔を見ているだけで、胸に熱いものが込み上げる。

……7年間ずっと心の底で追い求めていた、忘れえぬ人。

消そうと思えば思うほど鮮やかに蘇る、愛しい面影……。

環は横たわる彼女を食い入るように見つめた。


……彼女を破滅させる、など……

今となってはもう、方法すら思いつかない。

そもそも本気で破滅させる気なら、彼女を六本木に放置してくれば良かったはずだ。

ここに連れてきた時点で、彼女を破滅させることなど不可能だと心の奥底では気付いていた。



「花澄、……花澄……っ」



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