恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
環は胸を襲う鋭い痛みに、喉を震わせた。
あの頃の花澄が自分を全く好きでなかったとは思わない。
けれど自分は彼女を正面から見ていなかった。
彼女の心に、迷いに、向き合おうとしなかった。
花澄が自分についていく『覚悟』を決めきれなかった理由は、多分、それなのだろう。
深い後悔が胸の底から込み上げる。
今となってはもう遅い、深く苦い後悔……。
……しかし。
花澄はあれから逃げ出す素振りを全く見せていない。
花澄の性格を考えれば、理不尽な拘束からはすぐさま逃げ出そうとするだろう。
けれど花澄は何も言わず、ただここで日々を過ごしている。
恐らく花澄は、復讐すると言った自分の気持ちを受け止めようとしているのだろう。
昔から変わらない、花澄の強さ。
まっすぐに自分を受け止めてくれる、強さと優しさ。
彼女の弱さすらも自分にとっては愛おしい。
7年前とは違う、心のもっと深いところで、彼女にどうしようもなく惹かれていく。