恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「……花澄……」
やはり自分は、7年前と変わっていないのかもしれない。
たとえ彼女に何をされても、自分の彼女への気持ちは変わらない。
────彼女に、傍に居て欲しい。
自分が願っているのは、ただそれだけだ。
腕の中で眠る、花澄の横顔……。
少しやつれた、けれど昔と変わらない、愛しい面差し……。
叶うのなら……
もう一度だけでいい、自分に笑顔を見せて欲しい。
あの頃のように……。
環はゆっくりと花澄の頭を枕に戻し、指先でそっと愛おしむように髪を撫でた……。