恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「……環。ひとつ、君に聞きたい」
「何なりと」
「君はまだ、花澄に復讐するつもりなのか?」
直球な質問に、環は一瞬目を見開いた。
しばしの沈黙の後。
環は唇に笑みを浮かべ、ゆっくりと首を振った。
「いえ。……復讐など到底無理だということに、今更ながら気が付きました」
「…………」
「おれは一生、彼女には敵わないのでしょう。……でもそれでいいと思っています」
環は言い、雪也を見た。
雪也も無言でじっと環を見つめる。
……心の奥底まで見透かそうとするような、その瞳。
やがて雪也はひとつ息をつき、口を開いた。
「そうか。……であれば、君に話そう」
「……何をです?」
「7年前の、あの日の真実を」