恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



環は一体、どういうつもりでこんなことをしているのか……。

まるで檻の中に箱庭を作っているかのようだ。

────自分を住まわせるための、箱庭を。

贈り物を貰うたび、嬉しいと思いつつも、花澄の胸には身を切られるような切なさが込み上げる。


環が復讐すると言うなら、それを受け入れる気持ちはある。

しかし環はあれから一度も姿を見せない。

なのにこんな、ぬるま湯に浸けるような、真綿に包むような状態では────はっきり言って、蛇の生殺しだ。

環の優しさが見えるほど、自分は期待してしまう。

環がまだ、自分のことを大切にしてくれているのではないかと……そう、思ってしまう。


ここにいては、自分の心がダメになってしまう……。


環から逃げるつもりはない。

けれど一旦、この環境から離れたい。

一旦離れて、心を落ち着かせて────そしてちゃんと、環に向き合いたい。


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