恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



花澄はキッチンの棚を漁り、何か刃物がないか探した。

ここから離れるためには、まずはこのバングルをどうにかしなければならない。

抜くことができない以上、切るしか出来ないが、金属なので完全に切断するのは恐らく不可能だろう。

けれど刃物で多少なりとも傷つけることができれば、アラーム機能はひょっとしたら壊れるかもしれない。


花澄はキッチンの棚の奥に手を突っ込んでみた。

……指先に、固い何かが触れる。

引っ張り出してみると、それは小さな果物ナイフだった。

小さいが刃物なことに変わりはない。

とりあえずこれでやってみようか……。

花澄は意を決し、キッチンのテーブルの上に左手を置き、ナイフの刃先をバングルに当てた……。



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